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カトリック教会の社会教説をやさしく学ぼう |
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ヨハネ・マルシリオ神父(S.D.B.) |
今年一年、ヨハネ・マルシリオ神父様(サレジオ会司祭)が「カトリック教会の社会教説」をやさしくひも解いてくださいます。神父様は50年前に来日され、現在は下井草教会で司牧活動をされながら、日本の教会のために多方面にわたって活躍されています。
一見難しく、なかなか馴染みにくい社会教説。神父様に解説して頂くことによって教会の教えに対する関心が高まり、学びを深める手掛かりとなるのではないかと思います。どうぞ、ご期待ください。 |
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[2] カトリック教会の夢と努力(社会教説の教え)
「この世にみ国が来ますように」
カトリック教会はすべての人間がこの世にも、特に神の国に幸せであることを望んでいます。そのために、教会はイエス・キリストの派遣を受けて、過ぎ去った2千年の歴史にも今日にも福音宣教に励み、キリスト教の諸団体を通して惜しまない努力を寄せてきました。
現代のマスコミに乗っ取って、現代人は日常生活がより楽で楽しいものにするために、あらゆる電気機械の発明によって、すべてを「gamification」一つの面白いゲームにしようとしています。これで人間の心が本当に平和を見出すでしょうか。
さて、カトリック教会は人間がこの世で自己完成を果たし、社会生活がより人間らしいものとなるよう、独自な社会教説を通して、いくつかの原理および基本的な価値を伝え広めています。この教えの実行は楽なものではなく、感情を満たすもの「gratification」でもありませんが、その実行には神が考えた人間と社会の真の姿があります。
「カトリック教会の社会教説要綱4章」には、現代人の考えが聖書に見るいくつかの原理に照らされ、日常生活において、福音書に見るいくつかの基本的な価値を取り戻す必要があるとの指摘があるような気がします。ここにはその原理と価値を簡単にならべてみます:
原理:
@ 神の似姿であるすべての人間(男・女)の尊厳。A人間が生きる社会の共通善。B財
政は万民のため。Cすべてにおける人間の参加。D国家や大きな団体の存在が人間個人の完成・各家庭に対する補完的な役割。E貧しい者に対する連帯(補助を与える)
価値:
@ 真理に基づいて話しふるまうこと(真実、誠実、正直)
A 正義に生きること(神と人間に与えるべきことを与える)
B すべてのことに人間の理解と自由を顧みること
C 正義を超える寛大さ(愛)をもって人に接すること
これらの原理と価値に従って社会で生活を送ろうとする努力によって、この世に「新しい天と地」「真理と正義の実りである真の平和」が訪れます。各人間は自己実現を果たし、社会生活はより人間らしいものになります。
私たちが働く様々な事業所には人間関係の問題が起こるときがあります。この教えから示唆を受けて、逃げないで問題に対処しようとすることが大事ではないでしょうか。
カトリック教会が社会生活に関してかかげる目標と望みは、一つの夢・ユートピアに過ぎないでしょうか。疑問への個人の答えはどうであるにしても、キリスト者とカトリックのあらゆる共同体が、一丸となって、これを目指して努力するのは「この世にみ国がきますように」と言う祈りの実現に貢献することではないでしょうか。
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