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カトリック教会の社会教説をやさしく学ぼう |
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ヨハネ・マルシリオ神父(S.D.B.) |
今年一年、ヨハネ・マルシリオ神父様(サレジオ会司祭)が「カトリック教会の社会教説」をやさしくひも解いてくださいます。神父様は50年前に来日され、現在は下井草教会で司牧活動をされながら、日本の教会のために多方面にわたって活躍されています。
一見難しく、なかなか馴染みにくい社会教説。神父様に解説して頂くことによって教会の教えに対する関心が高まり、学びを深める手掛かりとなるのではないかと思います。どうぞ、ご期待ください。 |
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[9] 「家庭」
「人間が独りでいるのは良くない。彼に合う助ける者を造ろう」(創世記2,18)
このことからもわかるように、独身生活を送るにしても、結婚生活を送るにしても、人間は生きるためにいつも一つの共同体を求めるのです。
信仰生活は教会共同体の助けがあって営まれるのです。神の国のために存在する修道生活も一つの共同体の中で営まれます。人間が人間として成長するためには、父親、母親、兄弟姉妹などの存在が必要です。
家庭は人間や社会にとっては基本的で一番大事にすべき共同体です。
カトリック教会の最近の教えの中で、人権尊重の次に一番頻繁に扱われるテーマは「家庭」です。それは現在家庭が大きな危機に陥っているからばかりでなく、教会の考えによると、家庭は聖なるものであるからです。(現代世界憲章42−52;カトリック教会のカテキズム1601−1666;教会の社会教説綱要209−254などを参照)。
さて、家庭についての膨大な文献を短い記事にまとめるのは不可能ですので、ここに教皇ベネディクト16世が、今年6月3日、国際家庭大会のしめくりの話の中でおっしゃったいくつかの点を紹介します。その大会は「人間の労働、休暇、家庭」をテーマとし、5月30日から6月3日までイタリア・ミラノ市で行われたものです。参加人数は100万人で、世界の150か国の家庭の代表者が参加しました。
■ 家庭とは、平等であり 人格であり
独特で相互補完的な資質の持ち主である一人の男性と一人の女性が、愛といのちの共同体をつくるために一緒になることである。
■ 家庭は愛の交わり、いのちの聖域、小さい教会、社会の生きた細胞である。
■ 各家庭はナザレの聖なる家族を模範としながら、三位一体の交わりを反映する使命を帯びている。
家庭は両親と子供で成り立っているので、教皇ベネディクト16世は両親と子供に向かっていくつかの勧めを与えられました。
■ テクノロジー万能主義に支配されている時代に生きる両親が、子供たちにいのちの意味、生きることのより高い目標、信仰の尊さ、人間の弱さなどをもっと教える必要がある。
■ 子供たちが両親に対して、もっと愛情と尊敬を示し、兄弟姉妹同士のより親密な交わりに成長する必要がある。
■ この時代に生活する家庭は、上に指摘した点を実行するために、主の日の感覚を保ち、この日にあらゆる活動を差し置く必要がある。それは主の日である日曜日に、主と人とに本当に出会う喜びを味わうためである。そうすれば、家庭でのたえざる愛は可能となり、家庭としても社会のために尽くすばかりでなく、教会の使命である「神の国の建設」のためにも貢献することになる。
かいつまんで言いますと、人間には愛、交わり、神、祈りが必要であります。
私たちの支部共同体や事業の場で「家庭的精神」に生きるためには、神に祈る雰囲気がかけがえのないものであり、兄弟・姉妹・協働者との本当の交わりが必要です。
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