私は産まれて3日目に洗礼を受け、両親の信仰に育まれて育ちました。そして、シスターの道への召命を受けました。私の家族は、4時30分に起きて、1時間ほど歩いて皆そろってミサに行くことが日課でした。ある時、母に、どうしてミサがそんなに大切なのかと尋ねたら、「ミサは神様と出会う場所。イエス様をいただき、イエス様が心の中に来てくださる」ということを私に教え、諭してくれました。イエス様を迎えるのなら、手を合わせて、心の中にきれいな住みかをつくってイエス様を迎えたい・・・そう思ったことが、昨日のことのように私の脳裏に焼き付いています。

　「私たちはいつでも、十字架の上で流されたイエス様の御血の功徳に一方的に与っている。この恵みの中にあって、罪を犯してイエス様をお悲しませしないように・・・」このような信仰が私の原点であり、出発点でした。今も、毎日ミサにあずかるとき、手を合わせてイエス様をお迎えする準備をするとき、幼い時に受けた信仰の遺産を感謝しながら、ミサを奉献生活の励みとしています。また、神様のみことばも私を養ってくださいます。毎日聖書を開き、その日の福音の個所を読む時、神様のお姿、優しいお声が聞こえるようです。キリストをもっと知りたいという思いが強くなりま す。

「あなたがたは、キリストを見たことがないのに愛し、今見なくても信じており、言葉では言い尽くせないすばらしい喜びに満ちあふれています。それは、あなたがたが信仰の実りとして魂の救いを受けているからです。」（ペトロの第一の手紙　1・8〜9）

このペトロの言葉は、信仰を与えてくださった神様に感謝する気持ちを新たにしてくれます。信仰によって、見たことのない神様を信じ、愛し、私の心は喜びに満たされているのですから。また、コヘレトの言葉にあるように、何事にも時があり、定められた時があります。神様は、すべてを時宜にかなうようにお造りになり、神様がなさることは時にかなって美しいのです。神様は、いつも必要な時に必要なものを与えてくださることを実感しています。

しかし、こんなこともありました。児童養護施設で勤務していたとき、1人の小学6年生の女子が私に言いました。「シスターたちは聖書の言葉をたくさん知っていますよね。人生には時があるので、今は忍耐してください。中学生になったらやります」と。彼女が一枚上手でした。私は今、主に介護に従事しています。今のところ健康であることを感謝し、マザーテレサの「私をお使いください」の歌を心で歌いながら、病気の人の手と足となって寄り添うよう努めています。イエス様が、「わたしの兄弟であるこの最も小さい者の一人にしたのは、わたしにしてくれたことなのである」という聖書の言葉が私を励ましてくれます。自分の弱さ、罪深さを認めつつ、毎日のミサに生かされ、神様が私たちのために行われる不思議な業を賛美しながら過ごしていきたいと思っています。

これまでの人生の中で出会った人たちは皆、イエス様だったのだと思います。人々の中にイエス・キリストを認め、彼らに対する奉仕へと導く信仰を、これからも奉献生活の基盤として、最善を尽くしていきたいです。感謝のうちに。